ドダン・ブーファンのポトフ
  中国麺概説 〜 麺條(ミェン・ティヤォ)



 中国で、麺(繁体字で「」または「」、簡体字で「」と書く)が打たれ始めたのがいつなのかのは定かではないが、紀元前10世紀の中国青海省民和県の喇家遺跡から、粟(アワ)で打った麺が発見されている。
 紀元前7000年頃、メソポタミアで、小麦が栽培され始め、シルクロード経由で、紀元前1世紀頃、後漢の時代に中国に伝わった。
 小麦が伝わるとすぐに、雑穀の麺に取って代わって、小麦の麺が打たれ始める。
 ちなみに、日本で麺と言うと、細長いものを思い浮かべると思うが、中国では、小麦練って作った生地、麺片(ミェン・ペル)を使ったもの全般が麺料理に分類される。
 餃子も、広い意味では、麺料理なのである。
 中国では元々、米作が盛んだった揚子江流域に対し、揚子江流域以北では寒さのため、小麦を主食としていた。
 餃子も、麺料理も、中国全土で作られているが、本場は中国の北部である。
 特に、山西省では、麺料理が有名で、毎日麺を食べると言われるくらい、さまざまな製法の麺料理が食べられている。
 ここでは、日本のラーメンの麺も含め、中国麺について見て行こうと思う。

 なお、レシピめいた事も書いているが、これは中国のサイトを参考にして書いたまでで、自分は麺打ちをした事がない。
 麺打ちに関する質問は、なしという事で、お願いしたい(笑)。


 麺生地


 小麦粉、玉子、水を適量加える。場合によっては、ここに、または鹹水(カンスイ)を入れる。

 十分混ぜてこね、麺生地を完成させる。生地は十分な時間寝かせる。


 切麺 (チェン・ミェン)


 切麺、または烙麺(ラオ・ミェン)とも言う。麺の作り方では、最もポピュラーな方法。

 麺棒で、麺生地を均一な厚さで伸ばす。

 麺棒に巻き付けて伸ばしたり、また広げて伸ばしたりを繰り返す。

 のばした生地を重ねるように折り畳む。

 伸ばした麺生地を切る。
 写真は、包丁で手打ち(手切り?)している。

 茹で上げた切麺

 製麺機で作る麺も、麺生地に圧力をかけ、機械のカッターで切っている。
 工程が同じ要領なので、広い意味では、切麺と言える。


 竹升麺 (ツー・セン・ミェン)


 麺棒で麺生地をある程度伸ばした後、青竹を使って麺打ちをする。
 麺生地に打ち粉をしながら、幾重にも折りたたみ、麺に圧力を加えながら、グルテンを出し、最後に包丁で麺切りする。広い意味では、切麺と言える。
 麺生地に均一に圧力をかける事は不可能で、麺がデコボコになり、その面白い食感を楽しむ。
 中国では、マカオの名物麺。日本では、一部の佐野ラーメン店が有名。東京で食べるなら、桜桃林


 拉麺 (ラー・ミェン)


 抻麺(チェン・ミェン)とも言う。麺生地を両手で手伸べして作る。
 製法から分かる通り、やや多めに水を加え、寝かせて十分にグルテンが出ていないと、手伸べした際に、麺が切れてしまう。
 中国では、蘭州の名物麺。
 蘭州では、良質の鹹水が取れるため、鹹水を使った黄色い麺が作られる。


 刀削麺 (タオ・シャオ・ミェン)


 山西四大麺の1つ。麺生地を刀削麺専用の刀で削って、湯鍋に飛ばして作る麺。
 元王朝の時代に、支配者であった蒙古人は、漢人の反乱を恐れ、金属製品を没収し、小さい刀しか持たせなかった。
 ある日、老人が、この小刀で、麺生地を削って作ったのが、始まりとか。
 以前は、中華街に行かないと食べられなかったが、飲食企業がチェーン展開し、現在ではポピュラーな麺となった。

 刀削麺専用の刀。


 一根麺 (イー・ガン・ミェン)


 山西四大麺の1つ。の1つ。麺生地を油が入った陶器の中に、とぐろを巻くように入れて、手延べして湯に投入する麺。
 切れずに、長く伸びる程良いとされ、長寿を祝う時などに食べられる。


 剔尖麺 (ティ・ジエン・ミエン)


 山西四大麺の1つ。麺生地に、竹棒を使って、こそげるように飛ばして作る麺。


 刀拨面 (タオ・ブァオ・ミェン)


 山西四大麺の1つ。伸ばした麺生地を、刃の両側に柄がついた専用の包丁を使って切る。
 切麺と、どう違うのかって?そう言う所、突っ込んじゃダメ(笑)。


 猫耳朵 (マオ・アル・ドゥオ)


 の耳に似ている事から、名付けられた麺。
 麺生地を厚目に伸ばし、細長く切って、さらに適当な大きさにぶつ切りする。
 写真のように、中心がくぼむように、親指でつぶして作る。
 ちょっぴり、作り方がパスタっぽい。

 猫耳朵

 猫耳朵を使った麺料理。


 剪刀麺 (ジェン・タオ・ミェン)


 ハサミで、麺生地表面をカットして作る麺。


 莜面栲栳栳 (ヨウ・ミェン・タク・コウ・コウ)


 美味そうな、の巣・・・じゃなくて、燕麦(エンバク)を使って薄くのばした麺生地を巻いた麺。
 栲(タク)には、紙のように薄くのばしたものと言う意味がある。
 タレをつけて食べる。素朴な燕麦の麺の味わいと、タレの味が決め手。


 鹹水 (カンスイ)


 直訳すると、辛い水。分は、小麦の決着を強くする働きがある。
 鹹水を使うのは、中国では、蘭州が有名だが、他の地域ではほとんど使われない。
 鹹水を使うと、麺は黄色くなる。
 日本のラーメンの麺では、鹹水または、代用の添加物を必ず加え、麺を黄色くする。
 中国でも、昔は使う事が多かったが、現在では鹹水を使った黄色い麺は、極々少数派。
 恐らく多くの中国人は、日本の黄色い麺が、奇異に写る事だろう。

 天然鹹水の成分は、炭酸ナトリウム。日本では、麺を打つ際に、化学的に作り出された炭酸カリウム、ポリリン酸カリウム等の添加も認められている。
 戦後しばらくの間、日本のラーメンには鹹水の代わりに、苛性ソーダ(塩化ナトリウム)を添加して打たれていた事があった。
 苛性ソーダは現在、医薬用外劇薬に指定されている。大昔の麺は、今よりも臭い上に、体にも悪かった。

 自分の仕事上の大先輩が、「今のラーメンって、昔と香りが違って、物足りないよな・・・」と言っていた。
 マジっスか!!ロープ!!ロープ!!


 その他の添加物


 麺を打つ際に添加されるものに、澱粉がある。具体的には、ジャガイモタピオカ等の、イモ系の澱粉
 麺に澱粉を加えると、つるんとした食感となり、のど越しが良くなる。
 六厘舎の麺が、タピオカ澱粉を使って、のど越しを良くしているのは、周知の事実。

 小麦に比べて、澱粉・・・特に精製の粗悪な澱粉は安価。
 そのせいか、飲食企業経営のラーメン屋や、街の中華屋、中国料理店では、小麦澱粉の割合が逆転している、粗悪な不味い麺を使っている店が多くある。
 こんな麺は、香り悪く、小麦の風味はほとんどない。食感最悪、味も悪い。
 製麺所のラインナップの最安の麺は、1玉5円くらいで、澱粉メインの麺だそうな。最近は、食べなくとも、麺を見ただけで、この手の麺を判別出来るようになった。
 だてに、飲食店食べ歩いている訳じゃないよ・・・と、自己弁護しておく(笑)。

 また、そばのつなぎに海草を使う(へぎそば)事があるが、ラーメンの麺でも使われる場合がある。
 海草も、澱粉同様、少量使うなら良いのだが。


Last Update 2008.01.25 Created by Majin