ドダン・ブーファンのポトフ
  トゥルヌド・ロッシーニ(Tournedos Rossini)/牛ヒレ肉のロッシーニ風



 ロッシーニ風のロッシーニとは、19世紀に活躍し、人気があったイタリアの作曲家、ジョアキーノ・アントーニオ・ロッシーニの事。
 特にオペラの評判が高く、代表曲は、セビリャの理髪師(Il Barbiere di Siviglia)、アルジェのイタリア女(L’Italiana In Algeri)、ウイリアム・テル(Guglielmo Tell)等数えたらきりがないほど。
 ショパンベートーベン等、同時代の作曲家からも、絶大な評価を得た。ワーグナーは、ロッシーニのような作曲家になる事が、目標だったそうである。

 ロッシーニは、人気絶頂であったにも関わらず、44歳でオペラから手を引いた。
 理由は、料理の世界を志すため。ロッシーニは美食家で、かつ繊細で卓越した料理の創造力、技術を持っていた。

 誰かが、パガニーニの演奏会を聴いた翌日にロッシーニがこのヴァイオリニストに宛てた手紙の話をした。[中略]その中でロッシーニは、自分の人生でかつて3度しか涙を流したことがないと告白した。最初は自分のオペラが初めて観客に野次られた時。2度目は友人たちとの舟遊びで、手にしたトリュフ詰め七面鳥を湖に落として。最後は前日パガニーニの演奏を聴きながら。

 折しも、ロッシーニが移り住んだ当時のフランスは、グルメブームで、ロッシーニの食事会は、大変な評判を呼んだ。

 ロッシーニの名のつく料理は多いが、特に有名で、現代に至るまで繰り返し作られているのは、牛ヒレ肉のロッシーニ風と訳される、トゥルヌド・ロッシーニと呼ばれる料理。
 エスコフィエのレシピによると、ソテした牛ヒレ肉の上にフォアグラを乗せ、マデラ酒トリュフエッセンスを聞かせたソース・デミグラスで、デグラッセしたソースをかける。
 インターネットでレシピを調べると、色々なレシピがあり、スライスしたトリュフを乗せ、ソース・マデールをかけたり、ソース・ペリグーをかけるなんて言うのもあった。
 ロッシーニの生前に自伝を書いたスタンダールによると、ロッシーニは大の牛肉好きで、1日20枚ものステーキを食べて太っていたと、1820年12月22日付け書簡に書かれている。

 トゥルヌド・ロッシーニのレシピは、パリの老舗、カフェ・アングレ(Cafe Anglais)に伝えられた。

 この料理のトゥルヌドと言うのは、語源が不明。

 イタリアの料理研究家、マッシモ・アルベリーニ(MassimoAlberini)の、1972年に出版された「食卓4000年誌」に、下記の面白い話が載っていたそうである。
 これは、真剣な話なのか、笑い話なのか、ちょっと判定出来ないのだが。
 同時代の人ならいざ知らず、1972年って・・・情報ソースは何?

 ある日、ロッシーニは新しい肉料理を思いつき、自分のコックに調理させた。台所で調理手順を監視する主人を邪魔に思った料理人が「そんなことをされてもうまく作れません」と嘆くと、ロッシーニは答えた。「それならよそを向いて調理したまえ、私に背を向けてね(tournez moi le dos)」

 フランス語では、背を向けると言うのは、tourne le dos → Tournedos

 お後が、宜しいようで(笑)。

 ロッシーニの料理 より思いっ切り引用(笑)凄過ぎます、この著作は


トゥルヌド・ロッシーニ(Tournedos Rossini) 肥満した晩年のロッシーニ


Last Update 2009.01.07 Created by Majin