ドダン・ブーファンのポトフ 中江


住 所
東京都台東区日本堤1-9-2 
電話番号
03-3872-5398
営業時間
11:30〜13:30、17:00〜22:00
休 み
ジャンル
馬肉料理
Web
http://www.nakaerou.com/


評 価
★★★
訪 問 日


 明治38年日露戦争の年に創業。森下のみの家と双璧をなす、桜肉(馬肉)料理店。しかし、霜降り馬肉は、この店でしか味わえない。
 中江は、別名土手の中江と言われているそうだ。近くにこれまた歴史のある土手の伊勢屋という天ぷら屋がある。
 何故土手かと言うと、その昔、現在の道路から向こうに川が流れていて、中江や伊勢屋があった場所は、土手になっていたんだそうな。
 今は、土手の面影はない。
 以前から、中江や伊勢屋のような店が、突然こんな辺鄙な場所にあるのを不思議に思っていた。しかし最近知ったのだが、ここは吉原の近く。そう言う理由なのだ。
 昔々、この界隈に桜肉料理店が何店かあった。近郊のお百姓さんが、この界隈で馬を売って吉原に行ったとか、どうだとか。それで、桜肉料理店が繁盛したんでしょうかねぇ。
 本日食べた料理は、以下の通り。


 スジ煮込み \525  ★★

 スジ煮込みって馬ですか?と女将さんに聞いたら、うちの料理は全部馬です!!って言われた。そりゃ、そ〜だ。
 出て来たスジ煮込みは、牛ですと言われても気が付かないだろうなぁ。まあ、馬のスジ肉と牛のスジ肉の違いが分かる人は、食肉のプロだけだろうが。
 食べてみると、丁寧に煮込まれていて、スジ肉が軟らかい。スジの部位はトロッとしていて、周りの赤身がしっとりほぐれる。
 残念なのは、煮込んでいるタレがもっと美味かったら絶品だろうに。改善の余地有り。
 しかし、馬のスジ肉なんて、そんじゅうそこらで食べられるものではない。味も水準の美味さ。2ツ星。


 タルタルステーキ \1,400  ★★★

 この店は、故岡本太郎画伯のお気に入りの店だったそうで、この料理は、岡本太郎の発案によるものだそうだ。
 メニューでは、タルタルステーキユッケ風と書いてある。
 出て来たのは、レタスの葉の上に盛られたタルタルステーキ・・・って言うか、ほとんどユッケ。牛肉が、馬肉に変わっただけって感じ。
 食べてみると、粗めに切られた馬肉の赤身の味わいが、めっちゃ美味い。モンゴル帝国で食べられていたタルタルステーキは、馬肉じゃないかと言われているので、オリジナルに帰ったって事だな。
 味付けは、ダシ汁、醤油、ニンニク、ショウガ、卵、ゴマ油ってところか。特にゴマ油の風味が立っていて、韓国テイストを醸し出す。
 粗めに切ったのも大正解で、馬肉に食感があり、歯ごたえまで美味い。
 ユッケはもしかしたら、牛肉よりも馬肉の方が合うかも知れない。素晴らしい料理。3ツ星。


 ササミ焼き \1,400  

 ササミ焼きって事は、馬の胸肉なんだろうなぁ。
 薄くスライスして醤油と七味で焼いた料理なのだが、この料理は、ちょっとなぁ・・・
 脂もなんもない部位で、しっかり火を通しているので、肉が固い。固くても味わいが深ければよいのだが、味わいが淡泊。
 ごめんなさい、この味好みじゃない。1ツ星。
 ササミだったら鳥のササミ同様、唐揚げやフライ(馬カツ?)の方が合うのでは?


 ロース馬刺 \2,000  ★★★

 霜降り馬刺で、ロースの方が美味いのではないかと書いたが、全くその通り。ロースは、全く脂身が入っていない赤身。
 そもそも日本では、牛肉なんかでも霜降り肉を有り難がるが、やはり肉の美味さは赤身。特に馬肉の脂身は融点が低いようで、刺身で食べるには赤身の方が美味いと思う。
 人によっては、馬肉なんてゲテモノって言う人もいるが、食べてみると上質のマグロの赤身みたいな感じ。ちょっと獣肉臭さはあるが。
 牛肉の赤身も生で食べて美味いが、馬肉の方がクセが無くて、刺身としては上だと思う。
 惜しむらくは、この店の刺身は薄く切られている事。もっと厚く切った方が、歯ごたえがあって美味いと思う。
 生姜醤油で召し上がれ。3ツ星。
 ちなみにみの家は、もっと分厚く切った馬刺だ。


 霜降り馬刺 \3,600  ★★

 今日の霜降り馬肉は、以前食べた霜降り馬肉より、もっと見事な霜降り
 それでも、松阪牛のようなレベルでサシが入っている訳ではない。
 ロースと比べると、脂の味わいがコクとなる訳だが、馬の脂身は溶解温度が高いようで、人肌では溶けない。
 希少価値はあるものの、馬肉の刺身の醍醐味は、やはりロースと言えるだろう。2ツ星。


 串焼き \1,050  ★★★★

 馬肉の串焼き・・・まあ変わっているなぁくらいの軽い気持ちで注文した。
 食べてビックリ、めちゃめちゃ美味い!!
 部位はスペアリブだそうで、味付けは塩胡椒のみ。ミディアムに焼かれているが、馬肉だけに焼かれた表面は固い。しかし、実に味わいがあり、脂身にコクがある。
 しかし考えてみると、生で食べて美味い肉が、焼いて不味い訳がない。
 豚串や牛串も美味いが、馬の串焼きも負けていない。串焼きが好きな人は、一度食べてみて損はない。4ツ星。


 桜鍋(ロース、バラ、ザク、あとご飯、卵) ロース/\1,700、バラ/\2,400、ザク/\525、あとご飯/\420、卵/\105  ★★★

 メインの桜鍋は、ロースとバラ、そしてザク(ねぎ、しらたき、麩)。ロースとバラ、ねぎと麩を入れ、甘辛味噌ベースの割り下で煮込み、溶き卵で食べる。
 決して肉としらたきを一緒に煮てはいけない
 この桜鍋、牛鍋と同じ調理法。牛鍋はすき焼きの原型。つまり、明治文明開化の味を今も守っているのが、この桜鍋という訳だ。
 それにしてもバラ肉にはビックリ、とっても美味い。
 出されたバラ肉は、脂身だらけで、まるで鯨肉の脂身のよう。それを煮る事で、程良く脂が溶けて、少しもクドさがなくコクが出る。淡泊なロースと一緒に食べると、丁度良い美味さ。
 この店の割り下は、みの家ほど甘ったるくないのも嬉しいところ。甘ったるい割り下は、食べている内に飽きてしまう。とは言え、そこそこ甘くはしてあるのだが。
 前回霜降り桜鍋を食べた訳だが、霜降りなんかを食べるより、バラ肉を食べた方がよほど美味い。
 〆には、残りの具を卵で綴じて、ごはんの上にかけて食べる・・・いわゆる馬丼!?
 そもそも親子丼も、鳥すきを出していた人形町の玉ひでが元祖。鳥すきの残りを卵で綴じ、ごはんにかけたのが始まり。この料理は、玉ひでのエピソードに着想を得たのだろうか?
 割り下に出た馬肉やザクの旨味を余さず味わえる・・・が、個人的には丼の割り下としては、濃厚すぎる。ちなみに、玉ひでの親子丼も、自分は嫌い。親子丼の割り下は、末広町の鳥常みたいに、あっさりすっきりしたのが好み。
 玉ひでの親子丼程、馬鹿みたく甘ったるくないで、まずまずの美味さって所かな。
 ある意味、必ずしも桜鍋は、馬肉を美味く食べる調理法とは言えないかも知れない。割り下は甘いし、卵を付けて食べたのでは、多少良い肉じゃなくとも、卵のコクに誤魔化されてしまう。
 それもこれも、肉を食べ慣れない頃の、古き良き日本料理人の苦労が忍ばれると言うものだ。
 文明開化の香りを味わいたい人は、是非桜鍋をどうぞ。3ツ星。


 馬刺しにぎり寿司 3貫/\1,200  ★★★

 馬刺で美味いんだったら、寿司の握りで不味い訳がない。ちなみに馬肉は、回転寿司のネタにあるね。食った事はないが。
 出されると、まるでマグロの握りみたい。馬肉の上には、生姜が乗っている。
 食べてみると、馬刺同様、上質のマグロの赤身に匹敵する美味さ。
 最初酢飯じゃなくて、そのまんまごはん?と思ったが、ほんのり酢を利かせている。これ正解!!
 魚介類ならいざ知らず、肉なら酢がきついのは合わないだろう。結果として、大変美味い。
 酢飯の工夫と言い、馬肉の美味さと言い、文句なく3ツ星でしょ。


 森下のみの家は、馬刺と桜鍋だけなのに対し、この店は上記のようにメニューが豊富。色々なメニューを食べて楽しめる。
 中でも串焼きや、バラ肉の桜鍋は大ヒット。総合3ツ星。日本酒の「長春」も美味かったし。
 かと言って、そんなにみの家に水をあけていると言う訳でもないんだが。


Last Update 2004.11.20 Created by Majin